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園長 石田 朋美
『豆』といえば?と 子どもたちに投げかけると、答えは「えだまめ」。 一番身近で食することが多い大好きな豆は、どうやら『枝豆』らしい。それに続くのは、なかやみわ先生作の絵本そらまめシリーズでお馴染みの「そらまめ」のようです。 私にとっての豆は? 豆知識を振り絞っても思いつくのは小豆、大豆でしょうか。お豆腐、納豆、きなこにあんこ、毎日の食卓に欠かせない食材であるにもかかわらず、何と見識のないことでしょう。
さて、こんな豆に知識の浅い私は世界遺産で名高い“安芸の宮島”を有する広島県の西部廿日市市にある創立58年目を迎えた山陽女子短期大学附属幼稚園の園長をしております。 長年この海と山に面した素晴らしい地で自然とふれあい、素晴らしい職員や子どもたちに囲まれて過ごして参りました。
園庭に集合!(2025.9)
幼稚園の規模は全園児100名ほどの比較的小規模な園ではありますが、廿日市市で唯一の私立の学校法人山陽女学園という総合学園に属する幼稚園で、園舎は平屋建て、園庭には芝生が敷き詰められ、山の傾斜を利用したアスレチック、雨や雪の日でも戸外のように遊べる屋根付きのウッドデッキもあります。太陽を燦々と浴びて四季折々に熟す木の実や、散策できる園の山には木イチゴや竹の子が自生し、子どもたちは自ら野菜を育て食するという、豊かな自然に囲まれた幼稚園です。さてそこで何故「豆」の登場?ですよね。
出会いは2024年公益財団法人日本豆類協会様より可愛いイラストの食育絵本『だいすき!まめエイト』『ありがとう!まめエイト』を送っていただいたことからです。可愛らしい絵本に興味を抱いた副園長がお礼のメールと共に、子どもたちに豆に親しみを持たせる目的でまめエイトのキャラクターの使用や歌を歌いたいとの連絡をしたところ、振興部長の穴井様がそれに応え わざわざ遠路東京より本園に足を運んでくださったことからです。 本園では毎年ひとつのテーマを決め、子どもたちが遊びながら学びを深めています。 日常の活動にはもちろん、運動会や、作品展、発表会と大きな行事もテーマに沿って展開しています。そのテーマを来年何にするか・・・? 副園長は何か閃く物があったのでしょう。来年は豆!豆にしましょう!!ということで2025年の年間テーマはあっさり『豆』に決まりました!私の本心が『鳩が豆鉄砲を食ったよう』な気持ちだったことはさておき、いただいた豆標本セットを足がかりに2025年度の初めから様々な場面に豆を絡ませ、絵本を読み、歌を歌い、踊りながら、豆を身近に感じる取り組みがスタートしました。
私の心配をよそに『戸板に豆』。活動はどんどん順調にスムーズに進み、運動会では競技やダンス、入場門やプログラムに至るまで随所に豆が登場。
そして、11月の作品展では、『ようこそ豆王国へ』と題してダイナミックな作品作りに挑みました。 本園の作品は既製の工作セットではなく、ご家庭から持ち寄っていただく生活素材(いわゆる廃材、ゴミです)でゼロから作っていきます。空き箱、ボタン、毛糸、包装紙、松ぼっくりや、どんぐりも登場。丸いものから四角い物、色も素材も大きさも違う様々な生活素材の中から、想像力を駆使してイメージを形にしていく作品作りです。子どもたちの作り出す作品は小さな一粒の豆から大きく広がり、豆リンピック、豆エキスポランド、世界の豆王が堂々と集うユーモアたっぷりの想像の世界を創り上げました。
作品展当日は来園者全員が豆にちなんだ緑のアイテムを身につけ、保護者の方と子どもたちそして職員が一体になり、会場は豆の空気一色に覆われ大変盛り上がりました。また年長児はマメット(ヘルメット)、マべルト(ベルト)、豆スーツ(服)と名付けた手作りの衣装に身を包み、豆で世界を繋ぐ豆レンジャーとして豆ゲームの進行にも大活躍。 最後に設けたステージにおいては、年長児が調べた豆にまつわることわざを発表し、特筆すべき見応えのあるものになりました。小さな一粒の豆というアイテムから、あり得ないほどの豆で繋がる夢の世界が目の前に現れ『炒り豆に花が咲く』のことわざを体現する感動の作品展となりました。
残す大きなイベントは2月末に実施する総まとめの発表会です。もちろん既に職員の頭の中には壮大な豆構想が膨らみ、その日に向けて小さいけれど確かな仕掛けが展開されています。
本園は、子どもたちが自分で考え、選び、行動できるように日々の活動を支え、幸せな人生を自分の手で切り拓く子どもを社会へ送り出すため、主体性のある逞しい命を育てることを教育目標に掲げています。今年度小さな一粒の豆との出会いが子どもたちの心と身体を育て、大きな世界を広げる力を与えられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。 ところで、子どもたち自身がどの程度『豆』の栄養価やその効果効能について理解したかについては定かではありませんが、ご家族を巻き込みながら知識を深め、豆に親しみ、豆を味わい、その存在はお料理の脇役の位置から主役級にランクアップされたことは確かなようです。今後益々生活の中で豆を意識し、豆と共に暮らし『まめに暮らす』日々でありますように願いながら、つたない文章を書き終えることといたします。
豆類時報No.122(2026年3月)記事より