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学校や家庭で、花壇・菜園や鉢・プランターなどで、あずきを栽培する方法をご紹介します。
あずきの種子は、できるだけ栽培地の園芸・種苗店やホームセンターなどで栽培用種子として販売されている地域の気象条件に適した品種を用います。
栽培用種子の入手が難しい場合は、学校や家庭での簡易な栽培であれば、乾物屋やスーパーで食用として市販されている乾燥豆を使っても良いでしょう。この場合、販売されている食用あずきの大半は全国的に北海道産の夏アズキ型品種ですが、西日本で生産されることが多い秋アズキ型品種(都府県で育成した品種や地域在来種)が販売されていることもあるので、できるだけ栽培地と気象条件が似通った地域で生産されたあずきを使った方が良い結果が得られます(北海道の夏アズキ型品種を暖地で栽培した場合、生育量が小さいうちに開花期を迎え、十分な収量が得られないことがあります。)。
夏アズキは、北海道では5月中下旬、東北から九州では4月上旬~5月下旬に播くのが一般的です。また、本州の秋アズキの場合は、6月中旬~7月中旬に播くのが一般的です。
ただし、播種時期は地域や使用する品種タイプなどによりかなり異なるので、最寄りの農業改良普及センター、農協等に地域の慣行的な栽培時期を問い合わせたり、栽培用種子であれば購入時に種苗店に聞くか袋に記載されている栽培法を参照してください。また、このホームページの「あずき-産地における栽培概要」の「総論」の播種の項目や「地域別栽培方法」の近隣県の栽培方法も参考にしてください。
菜園等で栽培する場合、栽培場所や土質は特に選びませんが、極端に水はけや日当たりの悪い場所や粘土質の場所は避けます。
プランターや鉢で栽培する場合は、畑や庭の土、市販の園芸用培養土などを使います。
菜園等の場合は、よく耕してから土を均平化した後、60~70cm間隔で深さ10~20cm程度の溝を作ります。溝の中に肥料をすじ状にまき、後から播く種子が肥料と接触しないよう土で埋め戻します。施肥量は、野菜などを栽培する時の2割程度で十分です(窒素成分量で2~4kg/10a)。なお、通常は、全量を基肥として施用し、追肥は行いません。 肥料を埋め戻したら、その上に10~20cm程度の間隔で1箇所当たり2、3粒、3~4cm程度の深さに種を播いていきます。 播種後およそ10日から2週間程度で地上に芽が出てきます。
生育初期のあずき
鉢・プランターの場合は、予め肥料を用土によく混ぜ合わせておき、直径20cm程度の鉢であれば中央1箇所に2、3粒、細長いプランターであれば1箇所2、3粒ずつ3箇所程度、3~4cmの深さに種を播きます。播種後、乾き過ぎない程度に水をかけます。あずきは過湿を嫌う作物なので、出芽後も潅水は乾き過ぎない程度に止めます。 【参考】化成肥料等を使う場合の具体的な施肥量の計算方法 複数の化学肥料成分を含む化成肥料や家庭園芸用複合肥料等の製品には、成分についてN:P:K=6:8:8、10-10-10等といった表示がなされています。これは、その化成肥料等に含まれている窒素、リン酸、カリの各成分の含有量を重量割合(%)で表したものです(ただし、15-15-10を550、14-12-14を424などと数字を一部省略して表示している場合があることに注意。)。このように肥料は個々の製品により成分の含有割合が異なるため、実際の施肥量は、耕種基準等において成分量で表示された単位面積当たり施肥量から、次のような計算式で換算して求めます。この場合、通常、リン酸、カリは考慮せず、窒素を基準にして計算します。 ●計算式 化成肥料等(製品)の施肥量(単位:g)=成分量表示による単位面積当たり窒素施肥量(単位:g/㎡、単位がこれと異なる場合は予め換算が必要)÷使用する化成肥料等の窒素成分含有割合(%)×100×栽培面積(㎡) ●計算例 1(1坪の菜園の場合) 条件:成分量表示の窒素施肥量:2kg/10a、使用する化成肥料等の窒素成分含有割合:10% 成分量表示による単位面積当たり窒素施肥量の単位の換算:2,000g÷1,000㎡=2g/㎡ 化成肥料等(製品)の施肥量=2g÷10%×100×3.3㎡=66g ●計算例 2(直径20cmの鉢の場合) 条件: 成分量表示の窒素施肥量:4g/㎡、使用する化成肥料等の窒素成分含有割合:6% 化成肥料等(製品)の施肥量=4g÷6%×100×0.0314㎡=2g
日当たりのいい場所で育てると、出芽後約1.5ヶ月~2ヶ月程度で黄色い花が咲き始めます。花びらが枯れ落ちた後、莢がついて次第に大きくなります。なお、開花後、落花・落莢せず結実にまで至る花の割合は、品種によっても異なりますが、50%前後といわれています。
開花したあずき
着莢したあずき
農薬を使用する場合は、必ずあずきが適用作物となっている登録農薬を用い、使用時期、使用方法、注意事項等を守ってください。また、周辺の作物等にかからないよう十分注意してください。
開花後30~40日くらいで莢が緑色から褐色に変色します。莢が硬く乾いた状態になれば収穫できますが、莢は同一株内でも一斉に成熟するわけではありません。温暖な地域では、この時期に雨に当たると豆が腐りやすいので、屋外で育てている場合は、熟した莢から逐次手摘みで収穫した方が良いでしょう。手摘みした莢は、新聞紙などの上に広げて乾燥させます。鉢・プランターで数株育てている場合も、この方法が良いでしょう。
莢の7~8割が褐色になったら、一斉収穫ができます。株を地際から切り取り、結束して軒下に吊るすなど雨が当たらないようにして、莢を振るとカラカラと音がする程度まで乾燥させます。
成熟期を迎えたあずき
乾燥させた莢・株は、新聞紙やビニールシートの上に積み重ね、上から棒で叩いて脱粒(莢から豆粒を出させること)します。1つの莢に入っている豆粒の平均的な数は、普通あずきで7粒程度、大納言で4粒程度です。
成熟したあずきの莢と子実
脱粒作業後、「ふるい」を使って莢や茎くずと豆粒を分けます。その後、虫食いや腐って変色した豆粒等を取り除き、新聞紙等に広げて日陰で風をあててから紙袋等に入れ、涼しい所で保管します。
(本稿は「そだてて遊ぼう アズキの絵本(農文協の園芸絵本シリーズ66巻、十勝農業試験場アズキグループ編)」等を参考にして作成しました。)