本文へスキップします。

H1

あずきの栽培方法 ― 京都

コンテンツ

京都府

京都府の最近のあずきの栽培面積は600ha~650haで、全国における面積シェア約2%を占め、西日本では兵庫県と並ぶあずきの大産地です。あずきの栽培は丹波・丹後地域を中心に行われており、大部分を占める品種「京都大納言」は全国ブランドとなっています。京都府の産地におけるあずきの栽培スケジュール、栽培作業工程等は、以下のとおりです。

栽培スケジュール概要

京都府のあずきの栽培暦 京都府のあずきの栽培暦-秋型(京都府)

ほ場準備

排水の悪いほ場には、明きょ・明きょの設置により十分な排水対策を施します。堆肥0.5~1t/10aを投入し、土壌酸度矯正のため苦土石灰(80~150kg/10a)を施用するとともに、ほ場条件に応じて基肥を施用します。

京都府のあずきの標準的な施肥量(10a当たり成分量)
ほ場条件 N(窒素) P(燐酸) K(カリ)
一般ほ場
1kg(硫安:5kg)
12kg(溶燐:60kg) 6kg(塩化カリ:10kg)
野菜後作ほ場
不要
やせ地・ほ場整備直後の田
2kg(硫安:10kg) 16~20kg(溶燐:80~100kg)
注:カッコ書きは具体的な肥料名とその施肥量

品種

京都府では、京都府農業総合研究所において在来の「丹波大納言」から系統選抜された「京都大納言」が奨励品種に指定されており、府内統一ブランド品種として広範に栽培されています。また、「京都大納言」に在来種を交配してアズキモザイクウィルス抵抗性を付与した新品種「新京都大納言」が平成15年に育成され、奨励品種となっています。「新京都大納言」は、「京都大納言」より成熟期が10日程度遅いため、11月上旬に霜害のおそれが少ない府内の中・北部平坦地を中心に普及が進められています。

播種

播種適期は、7月5日~25日とされています。標準的な栽植様式は、次のとおりです。

京都府のあずきの標準的な栽植様式
畝幅・条間 株間 播種粒数/株 播種量/10a 栽植密度/10a
 畦幅 60~ 65cm 1条播き
25~30cm 2粒播き 3~4kg 5,500~6,500株
 畦幅120~130cm 2条播き
 条間60cm
10cm 1粒播き 4.4kg 16,700株

播種時又は生育初期に、アズキモザイク病を媒介するアブラムシ類を防除するため、殺虫剤(粒剤)の土壌施用を行うとともに、生育初期の雑草を防除するため、播種直後に除草剤(水和剤)の土壌全面散布を行います。

補植

欠株は減収につながるため、7月下旬までに早めに補植を行います。

中耕・培土

4~5葉期に、除草、生育促進、倒伏防止を兼ねて中耕・培土を行います。

開花

8月下旬~9月上旬に開花期を迎えます

追肥

開花期に成分量で2kg程度(硫安:10kg)の窒素追肥を行います

病害虫防除

次のような病害虫を防除するため、開花期直前の8月中下旬から9月下旬までの間、約10日おきに4回程度農薬散布を行います。

京都府のあずき栽培における防除対象主要病害虫
区分 防除対象主要病害虫
病害 アズキモザイク病(媒介昆虫であるアブラムシ類を防除)
虫害 アズキノメイガ、アズキサヤムシガ、ハスモンヨトウ、カメムシ類など

収穫

収穫時期は、10月下旬~11月中旬です。収穫方法としては、ビーンハーベスタやコンバインによる機械収穫体系の開発・普及が進められていますが、現時点では熟した莢から逐次手で摘んでいく手摘み収穫が主流のようです。一斉収穫を行う場合は、熟莢割合が全体の70%程度になった段階で刈り取り、軒先等で自然乾燥させます。未熟粒が乾燥したら、脱粒機で脱粒を行います。

(本稿は、「府県産雑豆生産流通実態調査報告書(第1年次報告)」(昭和63年1月、(財)日本豆類基金協会)などを参考にして作成しました。)