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あずきの栽培方法 ― 広島

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広島県

広島県のあずき栽培は、主に県東北部で行われています。あずきの栽培面積は、昭和30年の約3,000haをピークに減少し、昭和50年から平成の始め頃まで700~800ha程度で推移していましたが、その後、さらに減少し、最近では160ha程度となっています。それでも、中国・四国地方では、岡山県、島根県に次いで栽培の多い県です。広島県におけるあずきの栽培スケジュール、栽培作業工程等は、以下のとおりです。

栽培スケジュール概要

広島県のあずきの栽培暦 広島県のあずきの栽培暦-秋型(広島県)

ほ場準備

あずきの作付けには、排水良好で保水力のある植壌土・壌土のほ場を選び、排水溝などによる排水対策を行います。10a当たり堆肥を1~2t投入するとともに、酸性土壌の場合は苦土石灰200kg程度を散布してPHが6~7になるよう調整します。肥料は原則として全量を基肥として施用し、土壌とよく混和します。標準的な施肥量は、およそ次のとおりです。なお、白あずきの場合、窒素が多いと徒長・蔓化して莢付きが悪くなるため、基肥での窒素量を抑え、生育状況をみながら開花2週間前に追肥を行います。

広島県のあずきの標準的な施肥量(10a当たり成分量)
N(窒素) P(燐酸) K(カリ)
1~3kg 7~10kg 6~9kg

品種

広島県では、あずきについて奨励品種などの特段の指定はなく、地域在来品種が栽培されており、大納言系統のあずきや白あずきも栽培されているようです。

播種

播種適期は6月下旬~7月上中旬です。なお、白あずきの場合、早播きすると蔓化しやすく、遅播きすると莢が成熟しにくくなるので、適切な時期に播種します。標準的な栽植様式は次のとおりです。

広島県のあずきの標準的な栽植様式
畦間 株間 1株の本数 株数/10a
60cm 20cm 2~3本 8,300株

管理作業

播種直後に除草剤の土壌散布を行い、雑草の発生を抑制します。播種から20日後頃に第1回目の中耕・培土を行い、子葉がかくれる程度まで土を寄せます。第2回目の中耕・培土は、開花期10~15日前までに行います。開花期前後に旱ばつ気味の場合は、畦間灌水を行います。

開花

8月中旬頃に開花期を迎えます。

病害虫防除

防除対象とされている主要病害虫は、次のとおりです。

広島県のあずき栽培における防除対象主要病害虫
区分 防除対象主要病害虫 防除時期
病害 ウィルス病(媒介昆虫であるアブラムシ類を防除) 播種時、8月上旬
虫害 アズキノメイガ、アズキサヤムシガ 若莢がついてから10日おきに2~3回
カメムシ類 9月中旬

収穫

10月上旬頃に成熟期を迎えます。収穫は、熟した莢から数回に分けて手摘みを行うか、熟莢率が70%程度になった時点で、刈取り又は抜き取りによる一斉収穫を行います。一斉収穫の場合、収穫した株は、架(はで)干し、地干し又は島立てにより自然乾燥させます。乾燥したあずきは、脱粒した後に天日又乾燥機で再乾燥し、唐箕、篩等を使って選別・調製を行います。

(本稿は、「府県産雑豆生産流通実態調査報告書(第3年次報告)」(平成元年12月、(財)日本豆類基金協会)等を参考にして作成しました。)