千葉県木更津市立金田小学校(5年生 社会科)
はじめに
(公財)日本豆類協会は、豆を通じた食育の推進の一環として、小学生向けの学習副読本「おまめのはなし」及び指導者向けの「解説書」を作成し、毎年希望する小学校へ配布していますが、それらを活用した授業の事例を紹介します。
令和6年10月9日に配布先のひとつである木更津市立金田小学校で「おまめのはなし」や乾燥豆を教材として活用した授業を参観した概要を紹介します。
金田小学校
金田小学校は、東京湾を横断するアクアラインの木更津側の起点である木更津金田ICの近くにあります。学校の周辺地域は、木更津金田バスターミナルから東京駅まで高速バスで45分という都心へのアクセスも便利なところです。また、アウトレットやショッピングモールが進出している地域でもあるため、金田小学校でも近年児童数が低学年を中心に急増しており、授業が行われた教室も増築されたプレハブ校舎にありました。
2人の先生による社会科の授業
参観したのは、5年生の1組と2組の社会科の授業で「食生活の変化による食料の輸入について知ろう」というテーマを5年生担任の宇田川先生と栄養教諭の坂井先生とで進められました。
まず、前回までの授業の復習です。宇田川先生が、日本の米作りや水産業に携わる人が減ってきていること、米や魚の消費量も減ってきていることを習ったのを覚えているか確認します。その上で、宿題として提出された、こどもたちが家庭で食べた食事を撮った写真をみんなで見て、質問をしながら、ご飯もあるけれど麺やパンが結構あること、肉料理に比べて魚料理が少ないことを気付かせます。

宇田川先生の授業の場面
「おまめのはなし」の使い方
次に、給食を担当している坂井先生が、豆を使って授業を進めていきます。今年給食に出た豆料理(ポークビーンズ、カスレ、ミネストローネ)の写真を黒板に貼って、覚えているかみんなに聞きます。「おいしかったので覚えてる!」という声を聞きながら、9月の献立表をスクリーンに投影して、市内の農家さんのきゅうりやトマトなどのように食材はなるべく地産地消を心がけているけれど、さばの味噌煮のさば(ノルウェー産)のようにどうしても外国産に頼る場合も多いことを説明します。では、豆はどこから来ているのか、と問いかけながら、「おまめのはなし」を配布して、14ページの見出し「豆はどこでつくられているの?」の下段にある「海外からも届くよ」の6つの豆(あずき、いんげん豆、えんどう、大豆、ひよこ豆、レンズ豆)の円グラフを見るように誘導します。すると、「ひよこ豆とレンズ豆、100%輸入じゃん」とか「アメリカやカナダから来るんだね」など、輸入が多いことに子どもたちはすぐに気付きました。

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坂井先生の授業の場面
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おまめのはなし14ページ |
乾燥豆の観察
さらに、「おまめのはなし」5ページの「どんな豆があるのかな」を見るように指示して、様々な豆があることを伝えてから、日本豆類協会と農文協プロダクションから提供した16種類の豆(あずき、ささげ、緑豆、金時豆、とら豆、うずら豆、レッドキドニー、ネイビービーン、青えんどう、赤えんどう、紫花豆、ひよこ豆、レンズ豆、大豆、黒大豆、青大豆)の実物を見てもらいます。28人を5つの班に分け、小皿に分けた2種類ないし3種類の豆を各班に配って、1分経ったら次の班に回します。同時に、食べてみたい豆1~2種類と今日の感想を書くプリントも配られました。豆が配られると、豆を触ったり、匂いを嗅いだり、模様を見たり、大きさを比べたり、好きな豆を教え合ったりして、あっという間に観察の時間は過ぎました。

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| 回覧された16種類の豆 |
観察した豆の産地を伝える
豆の回覧中に宇田川先生が黒板に世界地図を貼り、16種類の豆の産地がどこであるかを書き込んでいきます。回覧が終わると、坂井先生からその日の給食の献立「チリコンカン」に使っている3種類の豆(ひよこ豆、レッドキドニー、マローファットピース(青えんどうの仲間))を説明しながら、黒板とスクリーンに書いているように、国内産もあるけれど豆がいろいろな国から来ていることをみんなに確認させます。そして、「今日見てもらった豆のどれかひとつをプレゼントするよ。どれに当たるかはわからないけど、ぜひおうちで食べてほしい。料理の仕方は調べてみてね。」と告げると、歓声が上がり、「あの豆がいいな」などの声がたくさんありました。

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豆を観察する子どもたち
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世界地図に産地を書き込む宇田川先生
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(後日聞いたところによると、5年生の食べてみたい豆ベスト3は、1位「とら豆」、2位「あずき」、3位「紫花豆)だったそうです。)
授業を受けた子どもたちの感想
最後に、授業を受けての豆に対する感想を子どもたちに聞くと「嫌いだったけど、ちょっと豆が好きになった」「いろいろな豆があることを知った」「もっとたくさんの豆を食べてみたくなった」などの感想が出て、授業は終わりました。

授業で使用した豆は他の学年、先生方も見られるよう廊下に展示した。
坂井先生に「おまめのはなし」や給食、豆などについて伺う
授業後、当日の給食をいただきながら、坂井先生にお話を伺いました。坂井先生は千葉県学校栄養士会の会長もなさっています。
「おまめのはなし」については、このような豆についていろいろなデータや話題がまとめられているものは、自分では作れないので重宝している、今後も活用していきたいとのことでした。
豆が嫌いな子が結構いるとのことで、その原因を聞くと、給食で初めて食べた豆料理が、見た目も悪くおいしくなくて嫌いになったなどであり、最初に嫌いにならないよう、おいしく食べてもらうことが重要ですとのことでした。嫌いになった後では、本人が食べなくても周りが豆料理をおいしいと食べているところを見せるなどして、食べてみようという気持ちにさせることが重要ともおっしゃっていました。
10月13日の「豆の日」に給食で豆料理を出していただけないかと尋ねると、金田小学校では、調理は業者に委託しているが、献立の企画、食材の発注は坂井先生の役割であるので、予算の問題はあるものの、来年以降可能ですとの返答があり、仮に豆料理は出せなくても、10月13日が「豆の日」であることのPRは校内放送やホームページなどいろいろな方法でできるとのことでした。
このほか、最近食物アレルギーの関係で使うことのできない食材が増えていることなども教えていただきました。

当日の給食(チリコンカン、ABCスープ、コッペパン、牛乳、ヨーグルト)
ABCスープとは、アルファベットの形をしたマカロニが入っているスープで児童に大人気だそうです。
豆類時報No.117(2024年12月)記事より
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