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あずきの栽培方法 ― 北海道

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北海道

北海道は、日本のあずきの収穫量の9割以上を占める大生産地帯です。中でも、生産が多い支庁は、十勝、上川、後志、網走などです。北海道におけるあずきの栽培スケジュール、生育経過、栽培作業工程は以下のとおりです。

栽培スケジュール概要

北海道のあずきの栽培暦 北海道のあずきの栽培暦-夏型(北海道)

ほ場準備

あずき栽培ほ場の耕起は、播種前年の秋に実施するのが基本とされています。この際、堆きゅう肥の投入(10a当たり1~2t)やpH値が低いほ場への石灰質肥料の施用(目標pH:5.8)も同時に行われます。砕土・整地作業は、ほ場の融雪が進んで乾燥した後、播種前に行われます。これら作業は、大型トラクターにプラウ、ハロー等の作業機を装着して行われます。

なお、あずきは、連作や短期輪作を行うと、土壌伝染性病害やセンチュウによる被害が増大するため、小麦、てん菜、馬鈴しょ、あずき以外の豆類(大豆・菜豆等)などを組み合わせた長期輪作体系の中で作付けされます。

品種選定

北海道におけるあずきの主要品種(優良品種)は、次のとおりです。各品種は、品質・収量のほか、早晩生、耐冷性、病害抵抗性等でそれぞれ特徴を持っており、栽培地域の気象条件や農家の経営条件などに即して適品種が選定されます。

北海道のあずきの優良品種指定状況
区 分 品種名 主要特性
普通小豆 エリモショウズ 中生、耐冷性、良質、安定多収
きたのおとめ 中生、耐冷性、良質、落葉病・萎凋病抵抗性
しゅまり 中生、落葉病・茎疫病・萎凋病抵抗性、餡色良好
サホロショウズ 早生、良質
きたろまん 早生、耐冷性、多収、落葉病・萎凋病抵抗性
きたあすか 中生、、耐冷性やや弱、大粒、多収、落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性
大 納 言 アカネダイナゴン 中生、大粒
とよみ大納言 中生、極大粒、落葉病・萎凋病抵抗性
ほまれ大納言 中生、加工適性優、落葉病・萎凋病抵抗性
白 小 豆 きたほたる 中生、良質、白小豆、落葉病・萎凋病抵抗性

播種

北海道では、あずきの播種は5月中旬~6月上旬に行われます。播種前に、立枯病、褐斑細菌病等の種子伝染性病害やタネバエの被害を防止するため、粉衣処理により種子消毒が行われます。なお、根粒菌の着生を促進するため、種子に根粒菌接種処理が行われる場合があります。

播種作業にはプランター(総合施肥播種機)が用いられ、施肥、播種、覆土、鎮圧の各作業が1工程で行われます。

一般的な栽植様式及び10a当たり施肥量は、以下のとおりです。種を播いてから出芽するまでには、10日~2週間程度かかります。

北海道のあずきの栽植様式及び施肥量
栽植様式 施肥量(10a当たり・成分量)
畦巾 株間 播種粒数/1株 覆土 N(窒素) P(燐酸) K(カリ)
60~66cm 20cm 2~3粒 3cm程度 2~4kg 10~20kg 7~10kg

注:施肥量は地帯や土壌により異なる。

播種機による播種作業
播種機による播種作業
出芽直後のあずき
出芽直後のあずき
生育初期のあずき
生育初期のあずき

中耕・除草

雑草防除のほか、土壌の水分保持力や通気性の改善、排水対策等も目的として、播種後20~30日頃から根が急速に発達する7月中旬頃までの間、およそ10日おきに2~3回程度、うねの間をカルチベータ等の機械により浅く耕す中耕作業が行われます。なお、ハコベ、タデ等の広葉雑草の多発生が見込まれるほ場では、播種後に除草剤の全面土壌散布が行われます。

生育初期のあずき畑(十勝)
生育初期のあずき畑(十勝)
カルチベータによる中耕作業
カルチベータによる中耕作業
カルチベータによる中耕作業
同左

開花

7月下旬~8月下旬頃までの30~40日間にわたり、順次、株の下から上に向かって黄色い花が咲きます。

開花期のあずき(8月中旬)
開花したあずき(8月中旬)
あずきの花
あずきの花
あずきの開花・着莢状況
あずきの開花・着莢状況

病害虫防除

病害虫を防除するため、開花から成熟期までの約2か月弱の間、ブームスプレーヤ等の機械を用いて、2~3回程度農薬散布が行われます。防除が必要な主要病害虫は、次のとおりです。

ブームスプレーヤによる防除
ブームスプレーヤによる防除
北海道のあずき栽培における防除対象主要病害虫
区分 防除対象主要病害虫
病害 炭疽病、輪紋病、菌核病、灰色かび病、茎疫病など
虫害 マメアブラムシ、マキバカスミカメ、アズキノメイガなど

収穫

収穫時期は、あずきの莢が緑色から褐色に変わって乾燥する9月~10月頃です。北海道におけるあずきの収穫作業体系には、次の3タイプがあります。

●ニオ積み収穫体系
 熟莢率が70~80%に達する成熟期以降に、あずきの株をビーンハーベスタ又はビーンカッタにより刈り倒し、数日間地干しや島立てによりほ場で予備乾燥をしてから、人力又はニオ積み機により畑の中に「ニオ」と呼ばれる円筒形の山に積み上げて2~3週間程度自然乾燥させ、子実水分を16~18%にまで下げた後、ビーンスレッシャ(脱粒機)で脱粒する体系です。
(注)ビーンハーベスタ:刈取り株をまとめて一定間隔でほ場に落下させる機械。ビーンカッタ:複数条の刈取り株を集約してほ場に列状に並べていく機械。

完熟期を迎えた畑
完熟期を迎えた畑
ビーンハーベスタによる刈り倒し
ビーンハーベスタによる刈り倒し
島立て乾燥
島立て乾燥
人力によるニオ積み
人力によるニオ積み
ニオ積み機による集積
ニオ積み機による集積
定置式スレッシャによる脱穀
ビーンスレッシャによる脱粒

●ピックアップ収穫体系
 熟莢率が100%に達する完熟期以降で、子実水分が16~18%となる時期(通常、完熟期後1~2週間程度)に、あずきの株をビーンハーベスタ又はビーンカッタにより刈り倒した後、直ちに(あるいは必要に応じ地干しによる予備乾燥をしてから)、トラクターで牽引するピックアップスレッシャ又はピックアップヘッドを装着した汎用コンバインにより、ほ場内を走行して株を拾い上げながら脱粒を行っていく体系です。

●ダイレクト収穫体系
 ピックアップ収穫体系と同じ時期に、専用コンバイン又は汎用コンバインを用いて、ほ場内を走行しながら、あずきの株の刈取り作業と脱粒作業を一工程で同時に行う体系です。

ピックアップスレッシャによるピックアップ収穫
ピックアップスレッシャ
によるピックアップ収穫
ピックアップヘッドを装着した汎用コンバインによるピックアップ収穫
ピックアップヘッドを装着した汎用
コンバインによるピックアップ収穫
汎用コンバインによるダイレクト収穫
汎用コンバインによる
ダイレクト収穫

写真のようなニオを積んだあずき畑の風景は、かつては北海道の秋の風物詩となっていました。しかし、ニオ積み収穫体系はニオ積み作業や脱穀・運搬作業に要する時間が長く、労働負担も非常に大きいため、最近では省力的なピックアップ収穫体系が主流となり、さらにダイレクト収穫体系も普及しつつあります。

北海道の秋の風物詩
北海道の秋の風物詩
ニオを積んだあずき畑(十勝)

(本稿は「北海道立十勝農業試験場 作物研究部小豆菜豆科 Q&A」等を参考にして作成しました。)